ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

ひげ爺の今は〇〇となりにけり。の新着ブログ記事

  • 兄ちゃん、ええやない、こんなん見逃してや

    2021.05.19 驚いたことに妻はピンピンしていた! 出て来たニコニコ顔の若い看護士に、爽健美茶を預けて、 「昨日、奥さん、何か変なことを口走っていたけど、奥さんに変わりはない?」 「元気ですよ。入院生活が長くなると、皆さん時々、ボーとされることがありますけど、奥様は食欲もあり、お元気です。な... 続きをみる

  • 告白は懺悔と同じ穴の狢

    2021.05.18 妻との会話は、姿が見えないだけに、毎度要領を得ない。 靴を履いたまま、痒い所を掻くような、もどかしさがある。 「何か変よ」 「何が? 体調が悪くなったの」 「それがよくわからないの」 「身体でないのなら頭がおかしくなっているのじゃないか」 「そうかもしれない。何か変なの。あっ... 続きをみる

  • 闇雲に畏まらない、委縮しない、

    2021.05.17 係留されたボートのロープが外れた、凧の糸が切れた、そんな精神状態にも似て、昨日はつまらないことを書いてしまった。 削除しようかと思ったが、それをやってしまうと反省ばかりで、これまたつまらない無味乾燥なブログになってしまう。 妻が不在であるので、どうしても物寂しくて、気ままな竹... 続きをみる

  • 正邪混交を目指しているような

    2021.05.16 昔の艶笑小噺です。 夜中にふと目覚めると、うす明かりの隣の部屋から何やらうごめく気配がする。 「コン! コン! あ、フン、あ、フン」という声が聞こえ、そのうち障子に黒い影が映って、上下に揺れ動いている。 ぴちゃぴちゃと、何かを舐める音まで聞こえて来る。 キツネだ! キツネがロ... 続きをみる

  • 身体の不具合など、いかほどのことあらんや。

    2021.05.15 長男が連れて帰った愛犬のジュエを見ていると、なんとはなしに気持ちが落ち着く。 あれは太古から人間の住むところに棲みついた、共生動物であるとの思いが、安心感を生んでいるからだろう。 その上に、愛玩用に交配された犬種であるジュエは、まことにもって愛らしい。 電話が鳴り、話している... 続きをみる

  • ポタリ、ポロリ、は椿の花などの落ちる様を言う

    2021.05.14 よそ見をして、ユ―チューブの音楽や映像に魅入っていると、自分が何をしているのか分からなくなって来る。 迷い路に踏み込んでいる、との自覚がある。 呑気に余生を楽しんでいる場合ではない、自分は自分、他人は他人、の意識を保ち続けなければならない。 安んじることは、難くなく、幸せの国... 続きをみる

  • あいにくの雨の中をやって来たのだから

    2021.05.13 年初めにオープンした、近頃評判だという、介護ショップに行ってみた。 なんということか、オープン以来、一度も休んだことがないのに、 本日休業します の張り紙が出ている。 系列の小説ショップの方は本日も開いています、とにっこり笑って案内している。 あいにくの雨の中をやって来たのだ... 続きをみる

  • 外には黒滔々たる闇が広がっている

    2021.05.12 恐れていたことが現実になった。 大学病院の4月分請求額、24日間の入院費のことである。 今日、爽健美茶を届けた折に、手渡された。 入院するときの誓約書に署名している。 個室料金18000円+消費税、であるのは承知している。 別途食事代他で、一日1000円少々かかる。 妻は介護... 続きをみる

  • 真犯人ではなかった、ジュエ

    2021.05.11 現場百篇、という名言がある。 行き詰ったときの、犯人捜索のベテラン刑事たちの会話によく出て来る言葉で、たしかにそれは当たっている。 ときたま見ている、「相棒」の右京さんは現場を一度しか見なくても、たいてい真実を見落とさない。 初見の印象を大切にしていて、再見はすでにいろんな情... 続きをみる

  • 妻の居ない日常生活に飼い慣らされていく

    2021.05.10 退屈も通り過ぎると、普通の常態になる。 今回の妻の入院も、早やひと月を越えた。 二週間ほどの点滴入院のつもりが、二倍三倍にもなるのはいた仕方がない。 それだけ厄介な症状であるということ。 一度だけ病室に入れたときに見た、妻の足指は、ジュクジュクとした褥瘡で、指裏には黒い斑点が... 続きをみる

  • 白樺派の「ヘチマ」の絵のようになる

    2021.05.09 このMURAGONブログに参加してから、自分の目が開かれたような気がしている。 大げさに言えば、人を見る目、世間を見る目、が変わった。 以前にどなたかのブログに 井の中の蛙大海を知らず されど空の蒼さを知る があった。なるほどな、感嘆したものだ。 そして、ネットを開くと、実に... 続きをみる

  • 『シャレコーベの唄』

    2021.05.08 ここ数日、歌がらみの記事を書いて、コメントも頂戴したりしたので、今日もそちらに向かいます。 カラオケ店に行ってまでして発散する、歌好きではないが、元々歌は好きです。 歌の嫌いな人はいない、嬉しいとき悲しいとき寂しいとき怒っているときでさえ気持ちを落ち着かせようとして突いて出る... 続きをみる

  • ああ、日本のどこかでわたしを待っている人がいる

    2021.05.07 昨夜のNHKテレビで、「いい日旅立ち」「シクラメンのかほり」を、裏話とともに見て、実に感動した。 特別に誰のファンというわけでもないし、たまたま聞いたらその歌手のファンになる程度の演歌好きだが、山口百恵の「いい日旅立ち」は、あれはいつ聴いても涙腺がゆるんできて、いつしか頬がぐ... 続きをみる

  • まだまだこれから開拓する余地がある

    2021.05.06 テレビのお笑い番組や、バラエティ番組が、以前のように素直に楽しめなくなったのは、受け手のこちら側に柔軟さが無くなったせいだろう。 ドラマの場合も同じく、顔は分かるが名前はほとんど出て来ない、 「ああ、あれ、何と言ったけ、AだったかBと言ったけ」 では、ますます入り込めない、時... 続きをみる

  • ICTル、

    2021.05.05 スマホの扱いにだいぶ慣れてきた。 数日前だったか、数週間前だったか、テレビのバラエティニュース番組の中で取り上げていて、驚いたことがある。 それは、和歌山ドンファン殺しの犯人元若妻逮捕、の下り、 決め手が、元妻から提出されたスマホの履歴から、というもので、局アナのケイタイ履歴... 続きをみる

  • イノチの洗濯、サツキ晴れ

    2021.05.04 数日前から、庭に一本植えてある、八朔の木に白い花が咲き始めた。 すでに小さな緑の実がついているやつも有る。 昨年は大きな実があらわになるまで、気づかなかった。 店頭で並んでいるような、大きなものが12個も採れた。 それまで偶の年に数個成ればいい方だったのに、どうしたわけか、今... 続きをみる

  • わたしはわたし、あんたはあんた

    2021.05.03 一日に何回も電話をかけて来ていたのが、この数日間、まったくケイタイが鳴らない。 大した話でもないので、その都度付き合うのにやれやれとならなくもないが、入院疲れでその気力もなくなっているのかと、かえって心配になる。 蜂窩織炎、血流不足の原因で起こる、ベッド生活者には欠かせない寝... 続きをみる

  • 1400年後の磐余の池を訪ねた

    2021.05.02 今日も妻は、コロナの円環に隔離されているために、夫は昨日の、斑鳩から馬に乗って、の続きに向かいます。 古代は政争の坩堝だった。 対抗馬と成り得る者は、早めに取り除くしかなかった。 現代でも誓約は往々に反故にされる。 血のつながり、身内はかえって危険な存在に他ならなかった。 母... 続きをみる

  • たとえばの話、斑鳩から馬に乗って、

    2021.05.01 鞍上、古代の眺め 片道8キロ、往復16キロ、それがどのくらいの距離かと家に帰ってグーグル地図を広げていた。 眼前に広がるのは、奈良飛鳥地方の地形。 10年も以前になって、古代に意識が飛ぶようになり、現地踏査をするまでの格別の想いがある。 そこが自分の魂の故郷、ひまを見て、足を... 続きをみる

  • ママチャリで病院まで行きます

    2021.04.30 前回、4/23の担当医との面会で、妻を交えて話したのは、あと6週間ほど足の塗り薬、点滴治療を施して、5月いっぱいで退院の予定だった。 それが一昨日の妻の話で「退院が早まるかも」になった。 その時に、「先生が今月で移動されるみたい、ご挨拶して」の情報もあり、今日は4月の平日の最... 続きをみる

  • 自分の余生を視つめるしかない

    2021.04.29 自分は母親の32歳のときの子で、母が102歳で亡くなったとき70歳になっていた。 郷里に帰り、病院で看取ったのだが、深夜に電話で起こされて、いよいよと覚悟を決めて病院に向かった。 兄弟姉妹6人の下から二番目、やっと生まれたただ一人の男の子だった。 老齢の姉たちに連絡するまでも... 続きをみる

  • 軽チャーに負けぬ、震度5の面白さ

    2021.04.28 「昨今のシンデレラは靴を落とさない」 ブログ村のマイページを開くと、コミックシーモアの宣伝がトップに載っており、アニメ画とともにそのタイトル↑ が目に飛び込んできた。 なにげに惹かれて追っていくと、 《舞踏会の最中、婚約破棄を言い渡されたフレデリカ・キャストレイ子爵令嬢。颯爽... 続きをみる

  • 「蜜柑」

    2021.04.27 両手いっぱいのやることが有りすぎて、夢の中まで侵入して来られて、混乱している。 妻の居ない環境になってみれば、久しぶりに自省の時間が生まれて、「こうしてはいられない」のに、「ではどうしたらいいのか」が見つからないで、うだうだ茹でられたタコ状態になっている。 そんなところに妻か... 続きをみる

  • シタン、コクタン、タガヤサン、

    2021.04.26 昨日の続きで、あれやこれやの大整理をしています。 Yahooオークション参加のための準備、これは売り手と買い手の価値観の戦いですから、血沸き肉躍る、楽しみがあります。 昔、中型トラック一杯の輸入家具を骨董市に持ち込んで、販売したことがあります。 シタン、コクタン、タガヤサン、... 続きをみる

  • 善悪彼此を吞み込んだようなもの

    2021.04.25 昭和20年(1945)は酉年で、何でも突いていく、と子供時分から言われた。 鶏の地面をせわしなく突く様を見て、そのように形容したものだろう。 他の者はいざしらず、まことに自分はその性格をよく体現している。 熱しやすく冷めやすい、飽きっぽくて次に立ち向かう、一か所に立ち止まるの... 続きをみる

  • わしらに死ねとおっしゃるんでござんすかい!

    2021.04.24 なんとなく空虚感に苛まれているようで、本日「都之隠士の介護日誌」は開店休業します。 対象物がない、梯子を外されたみたいで、こうやってみると妻という存在は大きなものであったと気づかされる。 しかし、根が楽観的な性格であるので、すぐにこの程度の憂鬱は霧消して行きます。 根気が続か... 続きをみる

  • 自分にも、他人にも、応援したい

    2021.04.23 当初は、2週間の点滴入院のつもりであった。 それが、しばらく妻は家に帰って来ないとなると、とたんに時間を持て余す。 植えたばかりの、プランターのよちよち野菜の水やり、花壇や鉢植えの今を盛りの草花を愛でて時間つぶしをするのにも、限度がある。 構想段階の歴史小説も、独自の視点・思... 続きをみる

  • 妻は強い精神力を持っている

    2021.04.22 水曜日(4/21)午後3時、 病室内に案内され、妻の耳目の前で、医師2名、看護師3名と面談した。 足指の褥瘡、右脛の黒ずみを確認し、担当医の説明で あと6週間治療すれば、足の細菌から撃退できます。骨に細菌が届いているかも検査しなければなりません。左足に金属(人工関節)が入って... 続きをみる

  • 老徹の我慢の無さ

    2021.04.21 家を出ようかと思っているところに病院から電話があった。 「明日水曜日の午後に医師から説明がありますが、ご主人のご都合はいかがでしょうか」 「ああ、そうですか。今日、伺おうと思っていたのですが、今日は先生の都合が悪いのですか」 「今日は担当医師が不在です」 「そうですか。では水... 続きをみる

  • 歳月は無残なり

    2021.04.20 過去に幾度が入院した時とは異なる今回の隔離生活に、妻の糸が切れた。 多くの機器につながれ、手足の拘束状態であった、ICU室の緊急入院のときでさえ、そばで顔を見ながら声をかけることができた。 声掛けに応答はないが、目は物を言う、のは分かる。 それがこの度のコロナのせいで、そのよ... 続きをみる

  • 奇怪な老人に成りきって

    2021.04.19 病院に、来るべき退院の時のための携帯酸素ボンベを持って行き、駅から歩いて帰るときに、「タネ屋」の店先に野菜の苗木が出ていたのを見つけて、各種求めた。 行きはヨイヨイ、帰りはコワイ、の逆でちょうど手が空いていた。 トマト桃太郎、ナス、キュウリ、ミニトマトの4種類を各二本ずつ。 ... 続きをみる

  • カモメのジョナサン

    2021.04.18 カモメに襲われる夢を見た。 妻を車いすに乗せて、ホームの海の見える丘に立って、眺望を楽しんでいると、カモメが飛んでやって来た。 話せるわけではないが、何か話している風でもある。 一羽二羽のときは、海辺の風景でほほえましいが、大群がやってくると、ヒッチコックの『鳥』のようになる... 続きをみる

  • ミイラのような足になっていく

    ↑最近この方の記事を楽しく読ませてもらっている。このお方は達人。著名な人との交流がある方なのかも知れない。 2021.04.17 妻が電話をかけてきて、 「転ばないようにして下さいね、と先生に言われたわ」 「そりゃあ、転んだら骨が折れる。もう脆くなっている年齢だよ」 「そうではなくて、転んだらお終... 続きをみる

  • アニハカランヤ、こんな言葉は

    一度投稿した後に ↑この記事を見て感動したのでリブログ、再投稿します。 2021.04.16 夜半に一度目覚め、一旦、起き上がったが何する気にもならず、すぐに布団に戻った。 次に目覚めたら、カーテン越しに外が明るくなっている。 いつも暗いうちから起きているので、夜明けとともに目覚めるのは珍しいこと... 続きをみる

  • 悲しみのない人生など、あるはずもない

    2021.04.15 MURAGONを知って、多くの方が投稿しているブログを読むことが楽しみの一つになっています。その中から自分の知らない世界を発見して、ああ、人はこうやって生きているのだなと、日本人一億人、世界数十億人のそれぞれの悩みや楽しみや悲しみがあるなと感嘆しています。 その中から、時々刻... 続きをみる

  • 病院内のガラスに映っていた、自分の顔

    2021.04.14 妻の、普段使っていた化粧品や看護用品を抱えて、バス・電車・バスに揺られて病院に行った。 意外とかさばる荷物になったので、JR駅まで徒歩で行くのも大変で、バスに乗った。 タクシーを呼んで乗るほどの気持ちはない。 横浜線が遅れていて、大学病院行のバスにやっと間に合った。 担当医師... 続きをみる

  • どちらからともなく笑いを誘う

    2021.04.13 老者が、家の中から消えた者を追い求めると、どうしても昔の若かりし頃の追憶になってしまう。 そしてそれは、大抵、いい気なものだ。 傍から見られたものではない。 あれは時の流れが、面の皮を厚くして、羞恥心を覆ってくれるからだろう。 旅行に出かけて、姿が見えなくなったのではない。 ... 続きをみる

  • 夢の中へ、行ってみたいと思いませんか

    2021.04.12 夢を見た。 陽水の、♪夢の中へ 夢の中へ 行ってみたいと思いませんか ははん 行ってみたいと思うまでもなく、向こうからやって来た。 やって来たのは、男と女。 男は同年代のようだから、たぶん自分で、若返りようがない。 女は誰だろう、妻なのか、そばに居ないから若返ることができる。... 続きをみる

  • 幕が下りたわけではない

    2021.04.11 妻の姿が家から消えて、介護にかかずる時間が無くなったというのに、それが何か不足のように感じられる。 介護する者の、喜怒哀楽を取り上げられた、そんな気持がどこかにあるのだろう。 キャンバスに描いていた景色が、暗転して、一瞬間目眩ましにあったようなものだ。 しかし、幕が下りたわけ... 続きをみる

  • この日は数行読んだだけで、眠くなった。

    2021.04.10 昨日は病棟担当医師から、今後の治療方針の説明を受けた。 さすがに病棟内に入る許可が下りて、面談室での対面だった。 妻が電話口で叫んだように、結論から言うと、足を落とす、ことになるかもしれない。 三本の動脈のうち二本が詰まっていて、このままだと壊死になる。 下肢動脈超音波検査報... 続きをみる

  • もう一つの足も切られる、イヤだあ!

    2021.04.09 病室内の様子がわからないので、今までの入院とは違う切迫した雰囲気を感じる。 全面ガラスの出入口の向こうに見える看護詰所にも、直接声を掛けられないのでどこかよそよそしい。 ボタンを押して、面会者に気づいてくれた詰所の者に名前を名乗り、ドアが開けられて、看護士が出て来る。 ケイタ... 続きをみる

  • そして、妻が居なくなった!

    2021.04.08 朝一番に、点滴を外しに看護士がやって来て、着替えを済ませて介護タクシーを呼び、予約なし診療で大学病院に向かった。 在宅クリニックの医師の紹介状が効いたのか、受付を済ませて3階の皮膚科に行くと、すでにボードに番号が掲示されている。 そこから、血液検査、エコー検査に回されて、再度... 続きをみる

  • 夕方になって点滴が始まった。

    2021.04.07 昨日火曜日は大変な一日になった。 「吐き気がするかもしれません」 訪問クリニックの医師からの注意は、重々、受け留めていた。 夕食後に他の薬と一緒に服用し、就寝前にも一錠飲ませた。 トラマールOD錠25mg、すごいやつだ。 いつもは朝7時には物音で目覚めるのだが、8時を過ぎても... 続きをみる

  • トラマールOD錠25mg

    2021.04.06 昨日は月2回の在宅クリニックの訪問診療日で、少しもよくならない足の状態を診て、妻の訴えに強力な鎮痛剤の処方と、今週金曜日の通院大学病院担当医師宛てに再度の紹介状を書くことで決着がついた。 「吐き気が出るかもしれません」 「痛い、と言うのがなくなれば、その方がいいです」 親指と... 続きをみる

  • 夜来の雨やみ、終日曇天、

    2021.04.05 頭の中が、瞬間湯沸かし器状態になることがある。 そこまで冷静であったものが、或る事件や或る言葉に出遭った瞬間に脳天にカッと血が上ってしまい、そこら中に渦巻や対流を起こして、それを抑えようとして身体がわなわなと震えて行く。 鎮まって振り返れば、なんでそんなことに我を失ってしまっ... 続きをみる

  • 自然体の、頑強な老婆の貌

    2021.04.04 妻を見ていて、感じることがある。 肉体の老化は仕方がない。 これは、生きとし生ける物、だれにも平等にやって来る。 誰もそれから逃れることはできない。 善行を積んだので、あなたは老化を免除します、という大岡裁きはない。 悪行を重ねたので、あなたは老化を早めます、という閻魔裁きも... 続きをみる

  • ひばり放送に紹介される

    2021.04.03 相も変わらぬ24時間が過ぎて、思い起こせば起床から就寝まで、我が事のように分かる。 普通なら、同じ家に住んでいる夫婦と云えども、その一挙手一投足が相方に丸見えと云うことはない。 部屋を離れれば、もう相方の動きは見えないのだから、視界から消えて、それぞれの持ち時間を気ままに過ご... 続きをみる

  • 「死にたい」は「生きたい」の同義語

    2021.04.02 車いすに背凭れして、よく寝ている姿を、最近見かける。 テレビの音量を外に聞こえるほど大にしているのに、見ているうちに眠気に襲われたのか、まったくそっくり返って大口を開けて寝ている。 若い頃なら、100年の恋も一瞬に吹っ飛ぶ、寝顔だが、そう想う間もなく、こちらの思惑に気づくはず... 続きをみる

  • フールフーラーフーリッシュ!

    2021.04.01 ここ1週間の天候は、並はずれて陽気が勝っている。 見渡して、こんなに花の咲くものかと、頭が浮かれてしまった。 それまでにも、妻を煙に巻いて楽しむ、悪趣味がなかったわけではない。 たとえば、二人とも長年のNHK大河ドラマのファンだ。 「どうしてNHK大河ドラマは、いや民放大型時... 続きをみる

  • 1パーセントほどの夫の怒声

    2021.03.31 妻の就寝の「お休み」の響きは、オブラートで包んでいる粉薬の擦過音のように、いつも揺れ動いて聞こえる。 「おやすみ」ではなくて「おやひみぃ~」と息絶えそうな声である。 鼻腔から酸素カニューレを装着しているので、その流入のせいでか、咽喉から押し出されようとする声と衝突して、かすれ... 続きをみる

  • 大笑いした!

    2021.03.30 大笑いした。 夕食の時に、妻がラッキョウを床に落とした。 梅干しやラッキョウは、食後の口直しに一粒食べる習慣になっている。 フォークで突き刺せば何ということもないのに、腹に乗せて口許に運ぼうとして、口に収まる瞬間にポロリと落とした。 膝の上に止まればいつものことだから、問題は... 続きをみる

  • 妻のテーブルマナー

    2021.03.29 顔を見合わせると、何かにつけ、言うようになった。 「次はいつ薬を飲むの?」 「今度はいつ病院に行くの?」 時間の観念がどこまでわかっているのやら、肉体の痛みは精神を蝕む。 夕食は、すき焼き鍋にした。 生タマゴの皿に、肉を浸し、それをジュエにやろうとする。 「熱いのはダメだ。人... 続きをみる

  • 無関心な老人になって公園を徘徊

    2021.03.28 キッチンのシンクタンク、排水口ポケットのゴミ清掃をした。 毎週一度は不織布の水切り袋を取り換える。 そのあとの、本体のぬめり汚れが凄いことになっている。 しかし、それを毎回ピカピカに磨くと、何かを成し遂げた達成感がある。 年経て、配偶者に先立たれた老爺にも同じ状況が来るだろう... 続きをみる

  • 怯んでばかりでは居られない

    2021.03.27 皮膚科の通院結果は、やはり服薬と塗布薬のみ、次回にエコー検査をします、とのお達し。 こちらの願いは全面的に敗訴。 妻の体の中は、今や、ボロボロのスカスカ状態、どんな薬も効かないのだろう。 しかし、そういった事に怯んでばかりでは居られません。 ついに小説の構想が固まりました。 ... 続きをみる

  • 江ノ島の薬師如来に頼った方がいい

    2021.03.26 以前にも感じたことがある。 写真、イラスト、なとど一緒に並ぶと、文章も感化されて、よき見栄えになるようだ。 大仏様の霊験あらたか、と自画自賛しました。 文章はたえず気になっていて、それが長年の性癖でもあります。 ここに書くブログも、送信となるまでにかなり時間がかかります。 何... 続きをみる

  • 大仏ももの想うかや春の海

    2021.03.25 今日は少し、昨日の夢見の写真入りで進めようと考え、その後追い日誌です。 夢見が良かったのは、先に江ノ島に行き、平日なのに多くの若者の姿であふれ、江ノ電駅までかなり歩き、車窓の景色に春の海のたりのたりを見つけて、うんうんと頷き、長谷の大仏近くの中華「エビチリ定食」に瓶ビールを飲... 続きをみる

  • 「行ってらっしゃい」の声で

    2021.03.24 今日水曜日は週に一度の、妻の面倒見から解放される、自由行動の日。 長男が同居して、晩御飯を作る心配もなくなった。 暗くなるまで遊んでいい、になったわけですが帰宅ラッシュに巻き込まれてはならない。 近場の江ノ島、鎌倉大仏など見に、JR・小田急・江ノ電と乗り継いで行きます。 湘南... 続きをみる

  • niceから撤退します

    2021.03.23 申し訳ありませんが、読者登録、を一旦整理させていただきます。 理由はniceをもらう、お返しをする、のに疲れたからです。 ランキングアップのために努力する、時間を浪費する、ことに気づいたのです。 今日一日休んで、明日からまた「都之隠士の介護日誌」を書いていくつもりです。 あり... 続きをみる

  • 「いらっしゃいまっせ」の歓迎の「まっせ!」

    2021.03.22 長男にくっついて家にやって来たジュエが、妻は可愛くて仕方がない。 夕食時には、必ずおすそ分けをして、口に入れるやすぐにマットの上に行ってしまう、 右目が見えないために、 「ジュエ、ジュエちゃん、どこに隠れているの?」 と声に出して、居場所を指摘されても、そちらを見るでもない、... 続きをみる

  • モノクローム映像を文章に転換して

    2021.03.21 日々、変わり映えのしない、モノクローム映像を文章に転換しても、只、中だるみになってしまう。 デジカメがある。 文に色を付けて見せるには、写真が一番手っ取り早い。 妻の室内での挙動を、何枚か写真に撮ってある。 親戚兄弟にも、ここ数年の妻の姿を見た者は居ない。 このような晩年であ... 続きをみる

  • 「マッセ!」と義兄弟たちが出迎える

    2021.03.20 皿洗いは当初から、夫の役目だった。 男子たる者、厨房に入るべからずは、昔の堅苦しい旧家のしきたり、 入浴もまずは将来の大黒柱から始まって、うだつ、鴨井、障子の桟の順に入り、 家の中で最もしんどい役目をこなしている、オクド、お釜は後湯を使った。 つい75年も前までは、日本は神風... 続きをみる

  • 当時はただの野球少年だった

    2021.03.19 現在に行き詰ると、どうしても過去の遺物を引っ張り出したくなる。 現在はごまかしようがないが、過去は自在にごまかすことができる。 パズルのピースを嵌めて行って、最後に残った一枚の形がどうしても合わない、あるいは一枚足らない、そんなときに人の性格が出ます。 まじめで律義で誠実な人... 続きをみる

  • 多情にならざるを得ない共有時間の長さ

    2021.03.18 水曜日は朝9時10分に、リハビリ療養士がやって来る。 コチコチに固まろうとする関節をほぐして、身体の潤滑を促している。 60分の作業時間だ。 妻の元々の病阿はリュウマチで、それは永年の活動期間を経て、今は終息期にさしかかっている。 それが分かるのは、朝のこわばりが薄れていて、... 続きをみる

  • 三代の先生にお世話になって

    2021.03.17 妻の同窓会報というものが届いた。 確か昨年に、もう送ってくれなくていい、と返事したような記憶があるが、年会費を払って居ないのに郵便物で届いた。 数十ページもある、立派な印刷冊子だ。 妻はチラッと目を走らせただけで、すぐに興味を失っている。 このような身体になって、皆との想い出... 続きをみる

  • 一人では人間は生きられない、

    2021.03.16 いっときの騒擾気分が鎮まると、次は反省、沈思黙考、の順番となる。 宴の後の寂しさ、楽しければ楽しい分だけ、反動がやって来る。 元の位地に戻っただけであるのに、上気した気分の量だけ下方に沈んで行っている、錯覚がある。 すきま風が吹く、あとの祭り、とも云う。 しばらくして、 ケセ... 続きをみる

  • 新たな、楽しい日課

    2021.03.15 心の中の考えを、外に出すというのは、健やかな身体を得る一つの方法だと最近感じるようになった。 今までも、川沿いの遊歩道を歩いて、とりあえず老体の日課にしていた。 スポーツ人間ではないが、物置からゴルフバッグを引き出して、時にはバシッとクラブを振って見せることもある。 適度な運... 続きをみる

  • 臆病なジュエを可愛く思って

    2021.03.14 朝からのショボ雨が午後から本降りとなり、そのうちゴロピカの春雷まで轟き始めて、にぎやかな一日になった。 長男にくっついて来たジュエは、もうすっかりこの家の一員になって、階下に下りて一緒に過ごしている時は「ジュエ、ジュエちゃん」と妻の目を細めさせている。 ただ、車いすに乗ってい... 続きをみる

  • そうやっていつまでも痛みの消えない

    2021.03.13 病院の広い廊下の端に席を求めて、電光掲示板に受付番号の出るのを待っている間中、ちょうどT字になる皆から姿の見えぬ処から、大きな声が聞こえていた。 車いすであるために、通行の妨げにならぬように、いつも離れた場所に席を求める。 この日もそこの端に腰かけていたために、列の誰よりも声... 続きをみる

  • 今日は大学病院通院日

    2021.03.12 酸素吸入の数値を昼間は1リットル、夜は2リットルと決めているのだが、いつもそれを忘れて妻に指摘される。 自分の身体の健康度を維持するための、服薬、ヘルパー・看護士、入浴カー、などの訪問の有無をよく覚えているのは、あれは人間の生存本能なのだろうか。 よく言われるように、朝食べた... 続きをみる

  • 閑話休題の一日

    2021.03.11 今朝は前日分の寝不足を解消するためか、窓の外が明るくなるまで寝覚めず、そのためにリズムが狂って、妻のルーティーンに入ってしまったので、しばらくブログに集中する時間がとれない。 一つ一つの動作に他者の介助が必要というのは、考えている以上に、他者に無意識の努力を強いていることにな... 続きをみる

  • 老兵は死なず、ただ去るのみ

    2021.03.10 今日は水曜日ということで、昼間、妻の手から離れて自由に行動できる日。 いつもは夜10時過ぎに就寝、たいてい朝4時に目が醒めて、パソの前に向かう。 そこから6時半に階下に降りて、先に自分の朝食、トースト・牛乳・バナナ・ヨーグルトを食べ、妻を起こすまでの2時間が、もっとも集中して... 続きをみる

  • くしゃくしゃになった印刷文字が

    2021.03.09 顔をくしゃくしゃにして笑う、という表現がある。 くしゃくしゃとは、紙をくしゃくしゃにする、が一番わかりやすい喩えになる。 それも印刷文字の入った、新聞紙や雑誌を丸めてポイしたときの様子が、もっともその状態を示すのに適している。 白紙を丸めても中身は無地のままだから動きようがな... 続きをみる

  • ジュエ、あんたに言葉が話せたらなあ!

    2021.03.08 介護ベッドの電動で上半身を起し、それを正面に向かせてベッドの縁に座らせて、そこで腋の下に両腕を入れ、「エイヤ」と抱え上げて車いすに乗せる。 その逆もまた然り。 この動作を朝昼夕晩と数えて一日8回、繰り返す。 考えればラブラブであったであろう、新婚時代も、こんなにも度々密着した... 続きをみる

  • キウイに食中りしたんだよ。

    2021.03.07 ジュエと妻の掛け合いを見ていると、まったくかみ合っていないのにどこか微笑ましい。 妻はいつの間にか右目を失明していて、左目も視力不足を嘆いていたが、昨年白内障手術してよく見えるようになった。 その右目が見えなくなったことに、長く気づかなかった。 「自転車に乗った人が通って行っ... 続きをみる

  • 「痛いよ、何するんだい、ヘタクソ‼」

    2021.03.06 大学病院、血液検査の結果が芳しくなく、強い抗生剤の投与がさらに必要、来週の検査の数値次第で1週間ほどの点滴入院になる、と皮膚科の若い女医から脅された。 ちなみに、今回通院した時系列の検査結果のプリント CRP定量 基準値 0.14以下 単位 mg/dl 1.40(2/4)  ... 続きをみる

  • 新しくスワイプした余生を送る

    2021.03.05 今日は大学病院皮膚科の診察がある。 それで前日のタクシー確認電話があり、それが取れないのに焦った。 それまでにも電話がかかって来ていたが、マナーモードに設定しているために、まったく気づかない。 表示が「介護タクシー」となっているので、出ようとして、いざ揺れている受信マークを押... 続きをみる

  • 深夜の呼び声は、同居人の情愛の確かめ

    2021.03.04 声を出すということは、自分の思いを他人に伝えたい、からである。 声に出さないと、何事も人には伝わらない。 面と向かっているわけではないから、身振り・手話などに頼ることもできない。 自分の胸中に語る、独り言というものもあるが、それを夜中に行い始めると人の領分から別の何かの領分に... 続きをみる

  • 幻覚症状が稀に起こる?

    2021.03.03 気持ちの問題であるのか、昼間届けられた痛み止めの薬を確認すると、足の痛みも薄れたようだ。 夕食後の服用になっているので、他の薬と一緒にアセトアミノフェン2錠飲む。 「痛みはどうなの?」 「あまりひどくない」と、穏やかな表情である。 夜は仰臥している以外に何もないので、意識が足... 続きをみる

  • 鬨の声が階下から聞こえて来た

    2021.03.02 気持がはしゃぎすぎたのか、深夜に声が上がり、最初はどこから聞こえる声なのかわからず、妻が呼んでいるのだとわかって、あわてて階下に降りてみると、 「足が痛い」と訴えてくる。 前回の病院診察で痛み止め薬は1週間分しか出ていなく、また、この4、5日、足の痛みを訴えていなかった。 今... 続きをみる

  • おそらく大長編小説にも負けない

    2021.03.01 新しいメンツが登場してきた昨日の記事で、小説なら筆を措くのが正しいが、このブログはそのために書いているのではないので、まだまだ続く。 1月、2月の投稿、一日40字×20~30行を心がけたので、原稿用紙換算で平均二枚半、60回ほど書いているので、約150枚。 思えば、パソコンに... 続きをみる

  • 「Who are you?」と言われないように

    2021.02.28 どこかで書いた覚えがある。 別サイトの「鳥に化る」に、アマゾンKindleで発表している小説作品、あのうちの一つが昨日2月27日に予選発表があると思って、パソの前に座るとすぐにWEBを開いて確かめるが、一向にその兆候がない。 前回がそうであるからといって、今回も27日であると... 続きをみる

  • アニマルセラピー、という言葉がある

    2021.02.27 突然に家族がふたつ、増えた。 二年ほど前、母親の見舞いに帰って来たときに連れて来ていたが、この度は妻には初めての顔合わせになる。 犬用のリュックがあるらしく、申告すれば新幹線にも無料だったか、500円か1000円で乗り込めることができると以前聞いた覚えがある。 ジュエ、と呼ん... 続きをみる

  • オレ、帰る。家に帰る

    2021.02.26 昨日、午後の入浴カーが帰って間もなくの事だった。 妻に湯冷ましの爽健美茶を飲まして、さあしばらくひと眠りさせようとしていると、 突然、音信不通であった息子から電話がかかって来て、 「オレ、帰る。家に帰る」になった。 「犬も連れて帰る」 それでしばらく家に滞在するのだとわかる。... 続きをみる

  • 新しい命を授かったようで嬉しい

    2021.02.25 昨日はリハの療養士がまだ終えていない間に家を出て、ドコモショップに向かった。 ずっと若い女の子が来ていたが、体調を崩したとか(つわり?)で先週から背の高いイケメン先生が代わりにやって来ている。 妻の話では、スポーツマン、バスケの選手だったとかで、中々の好青年だ。 リハも整体だ... 続きをみる

  • 新しいことに挑戦してみよう

    2021.02.24  少し、新しいことに挑戦してみようと考え、スマホを購入することにした。 普段、電話とメールのみの利用だから、いわゆるガラケーで十分の世界。 そこにスマホというものを加える。 テレビなどで視る便利なものの大部分は、スマホから発出している。 それなくても生活できるが、それあると別... 続きをみる

  • 「希望」という名のあなたをたずねて

    2021.02.23 すべてが順調に行っている時は、くよくよする暇もない。 ふとした折に、突然に、もの寂しさを感じる。 年頭の賀状に、旧来の友人たちにWEB「鳥に化る」の開設を知らせた。 見てもらいたい、読んでもらいたい、の一念からである。 彼らが一番、都之隠士tunoinshiの本性を知っている... 続きをみる

  • 身も心も虫干しの一日

    2021.02.22 あまりの好天に、庭の鉢植えの土返し、水槽の金魚の苔取り・フィルター交換に気を散じることにした。 介護タクシーに乗る時に、玄関先に設置している彩りの小花がどれもみすぼらしくなっており、妻にそれを指摘されて、パンジーなど新たに6株購入した。 植木や草花は妻の趣味だったが、年経るに... 続きをみる

  • 隣人のためではなく自分のためにも

    2021.02.21 この家に住んで24年、となりは長い間ずっと畑地で、川沿いの遊歩道を歩く老若男女、犬の散歩・ジョギング・サイクリング、と人の営みの姿を眺めることができた。 しかし、とうとうその贅沢は失われて、昨年の夏に宅地に造成され、見る間に新築の家がいくつも建った。 庭からも、二階の窓からも... 続きをみる

  • 痰が出ないとかえって心配になる?

    2021.02.20 昨日は病院に行く日であわただしく、その他、ややお疲れモードでパソコンに向かう気持が薄れていた。 そんなときに出て来る日誌は愚痴ばかりを書き連ねるに決まっている。 一日休んだために気分もリフレッシュ。 ちなみにこの日誌は早朝に目覚めたとき、二階のノートパソコンで書いています。 ... 続きをみる

  • 前垂れは我が家の食事マナー

    2021.02.18 夕食を作っていると、何か声を出している。 ワカメスープと鶏肉を細かく切ってフライパンで焼いている忙しい時に、言う事ではないのに、そこまで頭がまわらない。 「ああ、あれ下さい!」 言葉には出て来ないが、テーブルに向かって待っているので、前垂れを要求しているのだとわかる。 最近は... 続きをみる

  • 遊びをせんとや生まれけん

    2021.02.17 妻の状態を専門医から認知症の症状ですと言われたわけではない。 2年も前、大学病院を退院するときに、状況判断のような問診のペーパーを広げられて、各種の項目にチェックされて、その一つ一つの受け応えに妻がスムーズに即答できないのを知った。 側で視ながら、高齢者の健忘症とはちがう、異... 続きをみる

  • 酒は百薬の長、雨の中、傘を差して弁当を買いに

    2021.02.16 足の甲の張れと赤味は見た目、変化は感じられない。 朝の起床時に「痛い」と訴えていたが、日中ほとんど気にならない痛みなのか、そのことが話題になることはなくなった。 昼の用意をしなければならないが、麺類を切らしていて口に入れる適当な食物がない。 「焼き飯でも作ろうか」と問うと「そ... 続きをみる

  • 人格否定しないで!

    2021.02.15 昨日はバレンタインデーとかで、娘からヨックモック菓子が届けられて、そのお礼電話をしたのに、夕方、妻がケイタイを取り出して、どこかに繋ごうとしている。 前夜の地震が心配で、娘に様子を尋ねようとしているのだ。 「お菓子のお礼で声を聞いたばかりではないか」 「地震のことを話したいの... 続きをみる

  • 今日はバレンタインデー、らしい。

    2021.02.14 寝入りばなに、何か大きな揺れを感じて飛び起きた。 時刻を見ると23時08分、しばらく止む様子がなく揺れが続いた。 これは大きな地震だとわかり、急いで階下の妻の元に走った。 薄暗がりの中で、静かに寝ている。 あの揺れに気づかなかったのかと顔を覗き込むと、光るものが見えた。 「大... 続きをみる

  • なぜ? は赤ん坊への知恵がえり

    2021.02.13 病院で予約時間が過ぎても、診察の順番の受付番号がなかなか表示されないのに、我慢が切れそうになることがある。 一定の間隔で番号が切り替わっていると、呼ばれる時間が近づいていると安心できますが、表示された番号がまったく動かなくなって久しいと、段々苛々してくる。 前の人に時間がかか... 続きをみる

  • 正気になって言うことが可笑しく

    2021.02.12 排尿のパック袋の栓をゆるめて、容器に移して取り出しているときのことだ。 「パパも大変だね。大きに感謝申し上げます」 と、ときどき妙な丁寧言葉を真顔で話すので、微苦笑するしかない。 「大きに」は関西弁の「おおきに」なのだろう。 「申し上げます」など普段使わない言葉が出るのは、実... 続きをみる

  • 図書館を梯子する

    2021.02.11 久しぶりに図書館に足が向いた。 駅まで歩いて10分少々、駅向こうに300メートルほどの距離。 図書館は最も安上りの時間つぶしです。 平日の午前10時過ぎ、居るのは老人と幼児連れの若いお母さん。 読書スペースに10脚ほどのパイプいすが置いてある。 ほどよい室温で足を投げ出して寝... 続きをみる

  • 今ほど愛おしく思う時はない

    2021.02.10 庭の駐車スペースに車が無いのは淋しいものだ。 1964年に免許を取って以来、車に乗らなかった期間はほとんどない。 ホンダのN360、三菱ミニカ、マツダキャロル、シビック、サニー、カローラと乗り継いで行った。 都会に出て必要を感じなかったので数年は乗らなかったが、すぐにまた乗り... 続きをみる

  • 眠れない時は煎餅を齧る

    2021.02.09 妻が「監察医朝顔」というテレビを見ている間に風呂に入る。 夜10時には就寝させるために、その前に風呂に入っておくというわけだ。 今年の冬は「旅の宿」という入浴剤を見つけて、各地の温泉地巡りをしているつもりになっている。 格別温泉に行きたいという欲求があるわけではないが、テレビ... 続きをみる

  • 足の痛みは頭に適度な刺激

    2021.02.08 起床時に足の甲の腫れが引いていて、皺ができているようなのを話すと喜んでいたが、それには足首に枕を敷いて浮かせて寝かせたせいもあったかもしれない。 しかし、ベッドからの移動、車いすに乗せてテーブルに向き合うなり、 「足が痛い」という。 「そうか。腫れは引いているのに別の痛みかな... 続きをみる