ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

2021年3月のブログ記事

  • 1パーセントほどの夫の怒声

    2021.03.31 妻の就寝の「お休み」の響きは、オブラートで包んでいる粉薬の擦過音のように、いつも揺れ動いて聞こえる。 「おやすみ」ではなくて「おやひみぃ~」と息絶えそうな声である。 鼻腔から酸素カニューレを装着しているので、その流入のせいでか、咽喉から押し出されようとする声と衝突して、かすれ... 続きをみる

  • 大笑いした!

    2021.03.30 大笑いした。 夕食の時に、妻がラッキョウを床に落とした。 梅干しやラッキョウは、食後の口直しに一粒食べる習慣になっている。 フォークで突き刺せば何ということもないのに、腹に乗せて口許に運ぼうとして、口に収まる瞬間にポロリと落とした。 膝の上に止まればいつものことだから、問題は... 続きをみる

  • 妻のテーブルマナー

    2021.03.29 顔を見合わせると、何かにつけ、言うようになった。 「次はいつ薬を飲むの?」 「今度はいつ病院に行くの?」 時間の観念がどこまでわかっているのやら、肉体の痛みは精神を蝕む。 夕食は、すき焼き鍋にした。 生タマゴの皿に、肉を浸し、それをジュエにやろうとする。 「熱いのはダメだ。人... 続きをみる

  • 無関心な老人になって公園を徘徊

    2021.03.28 キッチンのシンクタンク、排水口ポケットのゴミ清掃をした。 毎週一度は不織布の水切り袋を取り換える。 そのあとの、本体のぬめり汚れが凄いことになっている。 しかし、それを毎回ピカピカに磨くと、何かを成し遂げた達成感がある。 年経て、配偶者に先立たれた老爺にも同じ状況が来るだろう... 続きをみる

  • 怯んでばかりでは居られない

    2021.03.27 皮膚科の通院結果は、やはり服薬と塗布薬のみ、次回にエコー検査をします、とのお達し。 こちらの願いは全面的に敗訴。 妻の体の中は、今や、ボロボロのスカスカ状態、どんな薬も効かないのだろう。 しかし、そういった事に怯んでばかりでは居られません。 ついに小説の構想が固まりました。 ... 続きをみる

  • 江ノ島の薬師如来に頼った方がいい

    2021.03.26 以前にも感じたことがある。 写真、イラスト、なとど一緒に並ぶと、文章も感化されて、よき見栄えになるようだ。 大仏様の霊験あらたか、と自画自賛しました。 文章はたえず気になっていて、それが長年の性癖でもあります。 ここに書くブログも、送信となるまでにかなり時間がかかります。 何... 続きをみる

  • 大仏ももの想うかや春の海

    2021.03.25 今日は少し、昨日の夢見の写真入りで進めようと考え、その後追い日誌です。 夢見が良かったのは、先に江ノ島に行き、平日なのに多くの若者の姿であふれ、江ノ電駅までかなり歩き、車窓の景色に春の海のたりのたりを見つけて、うんうんと頷き、長谷の大仏近くの中華「エビチリ定食」に瓶ビールを飲... 続きをみる

  • 「行ってらっしゃい」の声で

    2021.03.24 今日水曜日は週に一度の、妻の面倒見から解放される、自由行動の日。 長男が同居して、晩御飯を作る心配もなくなった。 暗くなるまで遊んでいい、になったわけですが帰宅ラッシュに巻き込まれてはならない。 近場の江ノ島、鎌倉大仏など見に、JR・小田急・江ノ電と乗り継いで行きます。 湘南... 続きをみる

  • niceから撤退します

    2021.03.23 申し訳ありませんが、読者登録、を一旦整理させていただきます。 理由はniceをもらう、お返しをする、のに疲れたからです。 ランキングアップのために努力する、時間を浪費する、ことに気づいたのです。 今日一日休んで、明日からまた「都之隠士の介護日誌」を書いていくつもりです。 あり... 続きをみる

  • 「いらっしゃいまっせ」の歓迎の「まっせ!」

    2021.03.22 長男にくっついて家にやって来たジュエが、妻は可愛くて仕方がない。 夕食時には、必ずおすそ分けをして、口に入れるやすぐにマットの上に行ってしまう、 右目が見えないために、 「ジュエ、ジュエちゃん、どこに隠れているの?」 と声に出して、居場所を指摘されても、そちらを見るでもない、... 続きをみる

  • モノクローム映像を文章に転換して

    2021.03.21 日々、変わり映えのしない、モノクローム映像を文章に転換しても、只、中だるみになってしまう。 デジカメがある。 文に色を付けて見せるには、写真が一番手っ取り早い。 妻の室内での挙動を、何枚か写真に撮ってある。 親戚兄弟にも、ここ数年の妻の姿を見た者は居ない。 このような晩年であ... 続きをみる

  • 「マッセ!」と義兄弟たちが出迎える

    2021.03.20 皿洗いは当初から、夫の役目だった。 男子たる者、厨房に入るべからずは、昔の堅苦しい旧家のしきたり、 入浴もまずは将来の大黒柱から始まって、うだつ、鴨井、障子の桟の順に入り、 家の中で最もしんどい役目をこなしている、オクド、お釜は後湯を使った。 つい75年も前までは、日本は神風... 続きをみる

  • 当時はただの野球少年だった

    2021.03.19 現在に行き詰ると、どうしても過去の遺物を引っ張り出したくなる。 現在はごまかしようがないが、過去は自在にごまかすことができる。 パズルのピースを嵌めて行って、最後に残った一枚の形がどうしても合わない、あるいは一枚足らない、そんなときに人の性格が出ます。 まじめで律義で誠実な人... 続きをみる

  • 多情にならざるを得ない共有時間の長さ

    2021.03.18 水曜日は朝9時10分に、リハビリ療養士がやって来る。 コチコチに固まろうとする関節をほぐして、身体の潤滑を促している。 60分の作業時間だ。 妻の元々の病阿はリュウマチで、それは永年の活動期間を経て、今は終息期にさしかかっている。 それが分かるのは、朝のこわばりが薄れていて、... 続きをみる

  • 三代の先生にお世話になって

    2021.03.17 妻の同窓会報というものが届いた。 確か昨年に、もう送ってくれなくていい、と返事したような記憶があるが、年会費を払って居ないのに郵便物で届いた。 数十ページもある、立派な印刷冊子だ。 妻はチラッと目を走らせただけで、すぐに興味を失っている。 このような身体になって、皆との想い出... 続きをみる

  • 一人では人間は生きられない、

    2021.03.16 いっときの騒擾気分が鎮まると、次は反省、沈思黙考、の順番となる。 宴の後の寂しさ、楽しければ楽しい分だけ、反動がやって来る。 元の位地に戻っただけであるのに、上気した気分の量だけ下方に沈んで行っている、錯覚がある。 すきま風が吹く、あとの祭り、とも云う。 しばらくして、 ケセ... 続きをみる

  • 新たな、楽しい日課

    2021.03.15 心の中の考えを、外に出すというのは、健やかな身体を得る一つの方法だと最近感じるようになった。 今までも、川沿いの遊歩道を歩いて、とりあえず老体の日課にしていた。 スポーツ人間ではないが、物置からゴルフバッグを引き出して、時にはバシッとクラブを振って見せることもある。 適度な運... 続きをみる

  • 臆病なジュエを可愛く思って

    2021.03.14 朝からのショボ雨が午後から本降りとなり、そのうちゴロピカの春雷まで轟き始めて、にぎやかな一日になった。 長男にくっついて来たジュエは、もうすっかりこの家の一員になって、階下に下りて一緒に過ごしている時は「ジュエ、ジュエちゃん」と妻の目を細めさせている。 ただ、車いすに乗ってい... 続きをみる

  • そうやっていつまでも痛みの消えない

    2021.03.13 病院の広い廊下の端に席を求めて、電光掲示板に受付番号の出るのを待っている間中、ちょうどT字になる皆から姿の見えぬ処から、大きな声が聞こえていた。 車いすであるために、通行の妨げにならぬように、いつも離れた場所に席を求める。 この日もそこの端に腰かけていたために、列の誰よりも声... 続きをみる

  • 今日は大学病院通院日

    2021.03.12 酸素吸入の数値を昼間は1リットル、夜は2リットルと決めているのだが、いつもそれを忘れて妻に指摘される。 自分の身体の健康度を維持するための、服薬、ヘルパー・看護士、入浴カー、などの訪問の有無をよく覚えているのは、あれは人間の生存本能なのだろうか。 よく言われるように、朝食べた... 続きをみる

  • 閑話休題の一日

    2021.03.11 今朝は前日分の寝不足を解消するためか、窓の外が明るくなるまで寝覚めず、そのためにリズムが狂って、妻のルーティーンに入ってしまったので、しばらくブログに集中する時間がとれない。 一つ一つの動作に他者の介助が必要というのは、考えている以上に、他者に無意識の努力を強いていることにな... 続きをみる

  • 老兵は死なず、ただ去るのみ

    2021.03.10 今日は水曜日ということで、昼間、妻の手から離れて自由に行動できる日。 いつもは夜10時過ぎに就寝、たいてい朝4時に目が醒めて、パソの前に向かう。 そこから6時半に階下に降りて、先に自分の朝食、トースト・牛乳・バナナ・ヨーグルトを食べ、妻を起こすまでの2時間が、もっとも集中して... 続きをみる

  • くしゃくしゃになった印刷文字が

    2021.03.09 顔をくしゃくしゃにして笑う、という表現がある。 くしゃくしゃとは、紙をくしゃくしゃにする、が一番わかりやすい喩えになる。 それも印刷文字の入った、新聞紙や雑誌を丸めてポイしたときの様子が、もっともその状態を示すのに適している。 白紙を丸めても中身は無地のままだから動きようがな... 続きをみる

  • ジュエ、あんたに言葉が話せたらなあ!

    2021.03.08 介護ベッドの電動で上半身を起し、それを正面に向かせてベッドの縁に座らせて、そこで腋の下に両腕を入れ、「エイヤ」と抱え上げて車いすに乗せる。 その逆もまた然り。 この動作を朝昼夕晩と数えて一日8回、繰り返す。 考えればラブラブであったであろう、新婚時代も、こんなにも度々密着した... 続きをみる

  • キウイに食中りしたんだよ。

    2021.03.07 ジュエと妻の掛け合いを見ていると、まったくかみ合っていないのにどこか微笑ましい。 妻はいつの間にか右目を失明していて、左目も視力不足を嘆いていたが、昨年白内障手術してよく見えるようになった。 その右目が見えなくなったことに、長く気づかなかった。 「自転車に乗った人が通って行っ... 続きをみる

  • 「痛いよ、何するんだい、ヘタクソ‼」

    2021.03.06 大学病院、血液検査の結果が芳しくなく、強い抗生剤の投与がさらに必要、来週の検査の数値次第で1週間ほどの点滴入院になる、と皮膚科の若い女医から脅された。 ちなみに、今回通院した時系列の検査結果のプリント CRP定量 基準値 0.14以下 単位 mg/dl 1.40(2/4)  ... 続きをみる

  • 新しくスワイプした余生を送る

    2021.03.05 今日は大学病院皮膚科の診察がある。 それで前日のタクシー確認電話があり、それが取れないのに焦った。 それまでにも電話がかかって来ていたが、マナーモードに設定しているために、まったく気づかない。 表示が「介護タクシー」となっているので、出ようとして、いざ揺れている受信マークを押... 続きをみる

  • 深夜の呼び声は、同居人の情愛の確かめ

    2021.03.04 声を出すということは、自分の思いを他人に伝えたい、からである。 声に出さないと、何事も人には伝わらない。 面と向かっているわけではないから、身振り・手話などに頼ることもできない。 自分の胸中に語る、独り言というものもあるが、それを夜中に行い始めると人の領分から別の何かの領分に... 続きをみる

  • 幻覚症状が稀に起こる?

    2021.03.03 気持ちの問題であるのか、昼間届けられた痛み止めの薬を確認すると、足の痛みも薄れたようだ。 夕食後の服用になっているので、他の薬と一緒にアセトアミノフェン2錠飲む。 「痛みはどうなの?」 「あまりひどくない」と、穏やかな表情である。 夜は仰臥している以外に何もないので、意識が足... 続きをみる

  • 鬨の声が階下から聞こえて来た

    2021.03.02 気持がはしゃぎすぎたのか、深夜に声が上がり、最初はどこから聞こえる声なのかわからず、妻が呼んでいるのだとわかって、あわてて階下に降りてみると、 「足が痛い」と訴えてくる。 前回の病院診察で痛み止め薬は1週間分しか出ていなく、また、この4、5日、足の痛みを訴えていなかった。 今... 続きをみる

  • おそらく大長編小説にも負けない

    2021.03.01 新しいメンツが登場してきた昨日の記事で、小説なら筆を措くのが正しいが、このブログはそのために書いているのではないので、まだまだ続く。 1月、2月の投稿、一日40字×20~30行を心がけたので、原稿用紙換算で平均二枚半、60回ほど書いているので、約150枚。 思えば、パソコンに... 続きをみる