ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

白鳥はかなしからずや

2022.07.09
白鳥はかなしからずや空の青海の青にもそまず漂う 牧水


安倍元総理の凶弾に斃れた事件に、ふとそんな歌を想った。


41歳という犯人にも、余人のわからぬ悲憤があったのだろう。
それが安倍元総理に向かったのは、彼が代表する政治に置き去りにされた者の、一撃の思いが、ねじ曲がった方向に噴出してしまったからだろう。


例によって、犯人のあら捜し、
母子を破滅に導いた宗教団体に安倍が関わり、恨みがあった、というのもたぶん事実なのだろう。
安倍はどのように見ても、清廉潔白ではなかった。
濁を飲み込んで突き進むのが、政治だと思っていた。
力で不満勢力・敵対勢力を押さえつけて来た。


ただ、皮肉なことに安倍は暗殺されたことで、日本憲政史上、最大の政治家になった。
モリカケ問題など、取るに足らぬ、力を持った政治家の小さな汚点にすぎぬ、
三世が手本とする祖父を越えてしまった。
安倍晋三の名前は歴史に永遠に残る。


牧水と同年代の石川啄木に『時代閉塞の現状』がある。