ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

吉備路のブログ記事

吉備路(ムラゴンブログ全体)
  • 世間知らずはお目出度い、自分の方だった。

    2021.06.21 20代の半ば、四国遍路横峯寺から石鎚山に登り、疲労困憊して家に帰り、死んだようになって横たわっていた。 「白目が黄色になっている」と指摘されて、倉敷の市民病院の診察を受けると、即刻、急性肝炎でその日のうちに入院、体中が黄疸で着ている寝巻がまっ黄色になった。 大人数の囲いも無い... 続きをみる

  • そう考えて、朝夕の線香を欠かさないでいる

    2021.06.20 小川洋子の「博士の愛した数式」を読んでいる。 いつどんな場合でも、博士が私たちに求めるのは正解だけではなかった。 何も答えられずに黙りこくってしまうより、苦し紛れに突拍子もない間違いを犯した時の方が、むしろ喜んだ。 そこから元々の問題をしのぐ新たな問題が発生すると、尚一層喜ん... 続きをみる

  • 人の営為など知りません、ジュエに救われている

    2021.06.19 いろんな用事・雑務に追われている。 その中に、役所の手続きというものがある。 これは残された者から、故人を想う時間を省いて、他の事に振り向けさせる、意外な妙法であるのかもしれない。 24時間、亡き者のことを想って、崩れていけるものでもない。 通夜、二日、三日と経ち、早や、初七... 続きをみる

  • 離れたところから二人のベクトルが交差した

    2021.06.18 汗を掻きながら、くたくたに一心に歩いたことで、頭の中に目的物以外の何も消えていた。 40年前の記憶しか残っていない。 yahoo地図を印刷して、テーブルの上に置いていたA4用紙を持ってくるのを忘れた、が、武蔵小金井駅からの方角は分かっている。 駅を背に、北北西に進路をとれ、だ... 続きをみる

  • 妻ロスの、悼みだろう

    2021.06.17 パソコンに向かって頭を使うのもいいが、それだけだと心身に滞りができる。 月曜日に打ったコロナワクチン接種のせいか、左肩に少々のコリがあった。 それを押して、病院に妻の残留物を引き取りに行ったので、思惟にムリをさせてしまった。 きのうは終日、ぼんやりとしていた。 妻のことだけを... 続きをみる

  • 妻の荷物の引き取り

    2021.06.16  月曜日は1回目のコロナワクチン接種に、駅向こうの指定医院まで出かけた。 火曜日は大学病院に、5月分の入院費の支払いと、そのままになっていた妻の荷物の引き取りに行った。 いったんは持ち帰っていた、車いすと酸素ボンベを、妻の強い要望で、半ば呆れながらもいずれは必要になるのだから... 続きをみる

  • 先立たれた男の供養はそれしか思いつかない

    2021.06.15 格別、信心深い男ではない。 若いときは、無神論・無宗教、自力こそ尊い、他力などに頼るものか、の気概があった。 それを、不自由にも窮屈にも感じない、鈍感さを粋がっていた。 それもどうやら、様変わりの、心境になったようだ。 ふと、妻は何も食べなくても平気なのか、入院中は差し入れも... 続きをみる

  • 涙雨ならぬ洗雨が降っていた

    2021.06.14 式が終えて外に出ると、涙雨ならぬ洗雨が降っていた。 葬儀は市営斎場で行った。 子供たちと一緒にタクシーに乗り、時間前にかなり早く着くと、すでに大阪の兄弟たちは全員そろって待っていた。 皆、後期高齢者になるが、肉体的に自由業で鍛えているせいか、酒・ゴルフと闊達な人たちだ。 82... 続きをみる

  • 抜けるような青空には、突然の夕立の予感

    2021.06.10 月曜日に術後の説明を受けたばかりなのに、水曜日も夕方、整形の医師から電話があった。 ――熱が9度近くあり、呼吸も少し荒い、元々、肺炎が底に残っているので、また出てきている、痰を取り除いて、抗生物質を変えてみます― そのような電話を貰ったのは初めてのような気がする。 2年前の左... 続きをみる

  • 電脳に人脳が勝った!

    2021.06.08 何か気分に、まったく色艶がなくなってしまった。 老人性うつに、罹ってしまったのかもしれない。 張り合いが無い、やり甲斐も無い。 白々しく、空々しい、毎日になってしまった。 そんな中で、何かに噛みつく材料はないかと探していたら、有った。 考えれば、その日から、変調になっている。... 続きをみる

  • 何か遺そうと立派な装丁の自費本を10冊ほど印刷

    2021.06.07 昨夜は妻から5日ぶりの電話があった。 側で看護士が手助けしているようで、はさむ声も聞こえた。 こちらから電話するのは、まだ早いと手控えていた。 アプト手術した日の次の火曜日にかかってきた電話では、何を話しているのか要領を得なかった。 アプトに覚醒して、うろたえているというので... 続きをみる

  • 夫婦は、元は他人だが、長年培って、兄弟よりも濃い関係

    2021.06.04 宅急便でメロンが届けられて、困ったことになった。 大阪の妻の姉から、時候の挨拶で送られてきたものである。 口にしなくても美味しい、メロンをもらって、困ったはないが、しかし、弱った。 お礼の電話をしなければならない。 妻のことを話題にしないわけにはいかない。 「スーの状態はどう... 続きをみる

  • 「鏡の中の、某」

    2021.06.03 4年ほど前の創作ノートが、パソコンに残っていた。 それを読むと、あれこれ周辺の整理もついたそのころから、本気で余生を創作に捧げようとしていたのがわかる。 自分の出発点、モチーフであるので、この場を借りて老爺の道しるべとしたい。 誰にでも大なり小なり有る、虎か馬か、と素直に言わ... 続きをみる

  • 家族のために生き延びるアプトを選んだ

    2021.06.02 自分の事ではないから、その時の感想があるわけではない。 歯の抜歯で、歯肉に麻酔をかけられた、針を刺されたチクリとした痛みと、周辺のしびれの感覚は残っている。 それのもっと大きな感覚だろうか。 全身麻酔ではない。 半身麻酔と聞いている。 アプトamputa切断の痛みは感じないだ... 続きをみる

  • 妻の、埋葬許可書というものにサインした

    2021.05.29 妻の、埋葬許可書というものにサインした。 昨日も、手術前の麻酔科、整形外科の医師の説明を聞きに病院に行き、そこで何枚もの書類に署名した。 前回、2年半ほど前にも同じ説明を聞いて、その中に埋葬許可書というものにサインを求められて驚いたことがある。 生きている人間の、部位とはいえ... 続きをみる

  • 一瞬に理解して、一瞬に切り捨てる

    2021.05.28 気難しそうな顔の向こうにも、ひとりにやにやしている貌がある。 図書館などで、大きな対面机に伏して本を読み、思わずにやけているところを他人に透かし見られて、慌ててしかめ面をしてごまかすことがある。 毎日が、病院だ、病気だとあっては、本来の、陽の八卦も塞ぐ。 スポーツ人間ではない... 続きをみる

  • 当人にとって、イノチと同等の覚悟

    2021.05.27 大学病院の担当医師から血液検査結果の報告があり、やはりCRPが下がっていない、整形の医師とも相談して、血管一本で足の治療を続けるのは今後とも難しい、ついてはアプト切断の手術方向に移りたいがそれでよろしいか、と。 妻に対しての問診確認事項に電話応答で済ませ、土曜日の子供たちを連... 続きをみる

  • 目に動きがないのを、初めて見た

    2021.05.26 大学ノートにびっしり書かれた日誌というものを、特攻隊員だか戦地兵だかの遺品に、その表紙の写真だけ見た記憶がある。 一般的には、A4サイズ、30行×40枚のKOKUYOノート。 死を見つめていた彼らに及ばないまでも、いずれ半分は棺桶に足が届いている自分にも、感じるものはある。 ... 続きをみる

  • 多情に勝る、薄情もある、

    2021.05.25 いつもより1時間も遅く、目覚めたら5時を回っていた。 昨日は罪のない、色即是空、のような、字面のままの理解でキャッチボールをしたので、心地よい疲れで熟睡していた。 AとB、赤と黒、トムとジェリー、ワトソンとホームズ、右京と相棒、のように二つ揃うと急に親しみやすくなる。 その伝... 続きをみる

  • 俄然、やる気になった。

    2021.05.24 昨日は午後からずっと小説を書いていた。 鮮やかな大輪の花に、ハッと虚を突かれて、触発されるものがあったのだろう。 その花の名前がアマリリスであると親切に教えてくれた、ブロガーのお方にまずお礼のコメントを返信して、夜から今朝までに更新してあるブログに目を通してniceを入れ、今... 続きをみる

  • 雲間から一条の光が落ちて来た

    2021.05.23 天候のせいか、気分がどうもシャキッとしない。 午前中に病院に行き、例によって爽健美茶4本を届けた。 考えれば院内ファミマで購入した、ペットボトル4本で、かろうじて妻とつながっている。 土曜日で病院内は人影も少なく、森閑としている。 9Fまでエレベーターで上がり、看護士に手渡し... 続きをみる

  • ウグイスの鳴き声で目覚めた

    2021.05.22 昨晩、寝る前に考えていたことが、朝の目覚めとともに消えてしまった。 ウグイスの鳴き声で目覚めた。 川向こうの、竹林の方に巣があるのは分かっている。 遊歩道を散歩しているほとんどの人がその音色に聞き惚れて、一度は足を止める。 すると、いっそうけたたましく、ケキョケキョホーケキョ... 続きをみる

  • 文人は小さな墓碑であってほしかった、

    2021.05.21 自分はあまりイライラしない人間のつもりだったが、そうでもなかった。 昨日は、コロナワクチンの接種予約のために、朝8時半から時間を見ては電話していたが、結局はつながらないままだった。 WEBからもできるとなっていたが、自分のやり方が間違っているのか、最終的には同じ電話番号にかけ... 続きをみる

  • とっさに感じたフラストレーション

    2021.05.20 高野山に登った時のことを、少し書く。 あれは4年ほど前、豪雨で南海線が橋本から先が運行不能になっていた。 自分は前夜、大和八木の旅館に泊まっていたので、JR和歌山線の橋本駅で降り、 代行バスで向かったわけだが、一時間近くゆられた記憶がある。 乗客はすべて観光客、多くは女性だっ... 続きをみる

  • 兄ちゃん、ええやない、こんなん見逃してや

    2021.05.19 驚いたことに妻はピンピンしていた! 出て来たニコニコ顔の若い看護士に、爽健美茶を預けて、 「昨日、奥さん、何か変なことを口走っていたけど、奥さんに変わりはない?」 「元気ですよ。入院生活が長くなると、皆さん時々、ボーとされることがありますけど、奥様は食欲もあり、お元気です。な... 続きをみる

  • 告白は懺悔と同じ穴の狢

    2021.05.18 妻との会話は、姿が見えないだけに、毎度要領を得ない。 靴を履いたまま、痒い所を掻くような、もどかしさがある。 「何か変よ」 「何が? 体調が悪くなったの」 「それがよくわからないの」 「身体でないのなら頭がおかしくなっているのじゃないか」 「そうかもしれない。何か変なの。あっ... 続きをみる

  • 闇雲に畏まらない、委縮しない、

    2021.05.17 係留されたボートのロープが外れた、凧の糸が切れた、そんな精神状態にも似て、昨日はつまらないことを書いてしまった。 削除しようかと思ったが、それをやってしまうと反省ばかりで、これまたつまらない無味乾燥なブログになってしまう。 妻が不在であるので、どうしても物寂しくて、気ままな竹... 続きをみる

  • ICTル、

    2021.05.05 スマホの扱いにだいぶ慣れてきた。 数日前だったか、数週間前だったか、テレビのバラエティニュース番組の中で取り上げていて、驚いたことがある。 それは、和歌山ドンファン殺しの犯人元若妻逮捕、の下り、 決め手が、元妻から提出されたスマホの履歴から、というもので、局アナのケイタイ履歴... 続きをみる