ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

2021年5月のブログ記事

  • 土の色、土の匂い、それは即ち、人の色、人の匂い、

    2021.05.31 日曜日は一日、田夫になって過ごした。 といっても、田や畑があるわけではない。 庭の一画、プランターに植えた、トマト、キュウリ、ナス、サヤエンドウなどの手入れ。 花壇の、咲き終わった草花の枯れを取り除き、新しい芽を促す、細かな作業。 花は咲いたらそれで終わりと考えていたら、古き... 続きをみる

  • 子供たちに母親と対面させる

    2021.05.30 よく寝た。 昨夜は、350mlのどごし生ビール一本で眠気が抑えられず、7時過ぎに風呂に入り、8時にはもう寝ていた。 湯船の中で寝落ちする者もあると聞くが、真実にそうなりそうだった。 3時過ぎに一度目覚め、麦茶でのどの渇きを潤して、また寝た。 いつもなら、それだけ寝ると起き出し... 続きをみる

  • 妻の、埋葬許可書というものにサインした

    2021.05.29 妻の、埋葬許可書というものにサインした。 昨日も、手術前の麻酔科、整形外科の医師の説明を聞きに病院に行き、そこで何枚もの書類に署名した。 前回、2年半ほど前にも同じ説明を聞いて、その中に埋葬許可書というものにサインを求められて驚いたことがある。 生きている人間の、部位とはいえ... 続きをみる

  • 一瞬に理解して、一瞬に切り捨てる

    2021.05.28 気難しそうな顔の向こうにも、ひとりにやにやしている貌がある。 図書館などで、大きな対面机に伏して本を読み、思わずにやけているところを他人に透かし見られて、慌ててしかめ面をしてごまかすことがある。 毎日が、病院だ、病気だとあっては、本来の、陽の八卦も塞ぐ。 スポーツ人間ではない... 続きをみる

  • 当人にとって、イノチと同等の覚悟

    2021.05.27 大学病院の担当医師から血液検査結果の報告があり、やはりCRPが下がっていない、整形の医師とも相談して、血管一本で足の治療を続けるのは今後とも難しい、ついてはアプト切断の手術方向に移りたいがそれでよろしいか、と。 妻に対しての問診確認事項に電話応答で済ませ、土曜日の子供たちを連... 続きをみる

  • 目に動きがないのを、初めて見た

    2021.05.26 大学ノートにびっしり書かれた日誌というものを、特攻隊員だか戦地兵だかの遺品に、その表紙の写真だけ見た記憶がある。 一般的には、A4サイズ、30行×40枚のKOKUYOノート。 死を見つめていた彼らに及ばないまでも、いずれ半分は棺桶に足が届いている自分にも、感じるものはある。 ... 続きをみる

  • 多情に勝る、薄情もある、

    2021.05.25 いつもより1時間も遅く、目覚めたら5時を回っていた。 昨日は罪のない、色即是空、のような、字面のままの理解でキャッチボールをしたので、心地よい疲れで熟睡していた。 AとB、赤と黒、トムとジェリー、ワトソンとホームズ、右京と相棒、のように二つ揃うと急に親しみやすくなる。 その伝... 続きをみる

  • 俄然、やる気になった。

    2021.05.24 昨日は午後からずっと小説を書いていた。 鮮やかな大輪の花に、ハッと虚を突かれて、触発されるものがあったのだろう。 その花の名前がアマリリスであると親切に教えてくれた、ブロガーのお方にまずお礼のコメントを返信して、夜から今朝までに更新してあるブログに目を通してniceを入れ、今... 続きをみる

  • 雲間から一条の光が落ちて来た

    2021.05.23 天候のせいか、気分がどうもシャキッとしない。 午前中に病院に行き、例によって爽健美茶4本を届けた。 考えれば院内ファミマで購入した、ペットボトル4本で、かろうじて妻とつながっている。 土曜日で病院内は人影も少なく、森閑としている。 9Fまでエレベーターで上がり、看護士に手渡し... 続きをみる

  • ウグイスの鳴き声で目覚めた

    2021.05.22 昨晩、寝る前に考えていたことが、朝の目覚めとともに消えてしまった。 ウグイスの鳴き声で目覚めた。 川向こうの、竹林の方に巣があるのは分かっている。 遊歩道を散歩しているほとんどの人がその音色に聞き惚れて、一度は足を止める。 すると、いっそうけたたましく、ケキョケキョホーケキョ... 続きをみる

  • 文人は小さな墓碑であってほしかった、

    2021.05.21 自分はあまりイライラしない人間のつもりだったが、そうでもなかった。 昨日は、コロナワクチンの接種予約のために、朝8時半から時間を見ては電話していたが、結局はつながらないままだった。 WEBからもできるとなっていたが、自分のやり方が間違っているのか、最終的には同じ電話番号にかけ... 続きをみる

  • とっさに感じたフラストレーション

    2021.05.20 高野山に登った時のことを、少し書く。 あれは4年ほど前、豪雨で南海線が橋本から先が運行不能になっていた。 自分は前夜、大和八木の旅館に泊まっていたので、JR和歌山線の橋本駅で降り、 代行バスで向かったわけだが、一時間近くゆられた記憶がある。 乗客はすべて観光客、多くは女性だっ... 続きをみる

  • 兄ちゃん、ええやない、こんなん見逃してや

    2021.05.19 驚いたことに妻はピンピンしていた! 出て来たニコニコ顔の若い看護士に、爽健美茶を預けて、 「昨日、奥さん、何か変なことを口走っていたけど、奥さんに変わりはない?」 「元気ですよ。入院生活が長くなると、皆さん時々、ボーとされることがありますけど、奥様は食欲もあり、お元気です。な... 続きをみる

  • 告白は懺悔と同じ穴の狢

    2021.05.18 妻との会話は、姿が見えないだけに、毎度要領を得ない。 靴を履いたまま、痒い所を掻くような、もどかしさがある。 「何か変よ」 「何が? 体調が悪くなったの」 「それがよくわからないの」 「身体でないのなら頭がおかしくなっているのじゃないか」 「そうかもしれない。何か変なの。あっ... 続きをみる

  • 闇雲に畏まらない、委縮しない、

    2021.05.17 係留されたボートのロープが外れた、凧の糸が切れた、そんな精神状態にも似て、昨日はつまらないことを書いてしまった。 削除しようかと思ったが、それをやってしまうと反省ばかりで、これまたつまらない無味乾燥なブログになってしまう。 妻が不在であるので、どうしても物寂しくて、気ままな竹... 続きをみる

  • 正邪混交を目指しているような

    2021.05.16 昔の艶笑小噺です。 夜中にふと目覚めると、うす明かりの隣の部屋から何やらうごめく気配がする。 「コン! コン! あ、フン、あ、フン」という声が聞こえ、そのうち障子に黒い影が映って、上下に揺れ動いている。 ぴちゃぴちゃと、何かを舐める音まで聞こえて来る。 キツネだ! キツネがロ... 続きをみる

  • 身体の不具合など、いかほどのことあらんや。

    2021.05.15 長男が連れて帰った愛犬のジュエを見ていると、なんとはなしに気持ちが落ち着く。 あれは太古から人間の住むところに棲みついた、共生動物であるとの思いが、安心感を生んでいるからだろう。 その上に、愛玩用に交配された犬種であるジュエは、まことにもって愛らしい。 電話が鳴り、話している... 続きをみる

  • ポタリ、ポロリ、は椿の花などの落ちる様を言う

    2021.05.14 よそ見をして、ユ―チューブの音楽や映像に魅入っていると、自分が何をしているのか分からなくなって来る。 迷い路に踏み込んでいる、との自覚がある。 呑気に余生を楽しんでいる場合ではない、自分は自分、他人は他人、の意識を保ち続けなければならない。 安んじることは、難くなく、幸せの国... 続きをみる

  • あいにくの雨の中をやって来たのだから

    2021.05.13 年初めにオープンした、近頃評判だという、介護ショップに行ってみた。 なんということか、オープン以来、一度も休んだことがないのに、 本日休業します の張り紙が出ている。 系列の小説ショップの方は本日も開いています、とにっこり笑って案内している。 あいにくの雨の中をやって来たのだ... 続きをみる

  • 外には黒滔々たる闇が広がっている

    2021.05.12 恐れていたことが現実になった。 大学病院の4月分請求額、24日間の入院費のことである。 今日、爽健美茶を届けた折に、手渡された。 入院するときの誓約書に署名している。 個室料金18000円+消費税、であるのは承知している。 別途食事代他で、一日1000円少々かかる。 妻は介護... 続きをみる

  • 真犯人ではなかった、ジュエ

    2021.05.11 現場百篇、という名言がある。 行き詰ったときの、犯人捜索のベテラン刑事たちの会話によく出て来る言葉で、たしかにそれは当たっている。 ときたま見ている、「相棒」の右京さんは現場を一度しか見なくても、たいてい真実を見落とさない。 初見の印象を大切にしていて、再見はすでにいろんな情... 続きをみる

  • 妻の居ない日常生活に飼い慣らされていく

    2021.05.10 退屈も通り過ぎると、普通の常態になる。 今回の妻の入院も、早やひと月を越えた。 二週間ほどの点滴入院のつもりが、二倍三倍にもなるのはいた仕方がない。 それだけ厄介な症状であるということ。 一度だけ病室に入れたときに見た、妻の足指は、ジュクジュクとした褥瘡で、指裏には黒い斑点が... 続きをみる

  • 白樺派の「ヘチマ」の絵のようになる

    2021.05.09 このMURAGONブログに参加してから、自分の目が開かれたような気がしている。 大げさに言えば、人を見る目、世間を見る目、が変わった。 以前にどなたかのブログに 井の中の蛙大海を知らず されど空の蒼さを知る があった。なるほどな、感嘆したものだ。 そして、ネットを開くと、実に... 続きをみる

  • 『シャレコーベの唄』

    2021.05.08 ここ数日、歌がらみの記事を書いて、コメントも頂戴したりしたので、今日もそちらに向かいます。 カラオケ店に行ってまでして発散する、歌好きではないが、元々歌は好きです。 歌の嫌いな人はいない、嬉しいとき悲しいとき寂しいとき怒っているときでさえ気持ちを落ち着かせようとして突いて出る... 続きをみる

  • ああ、日本のどこかでわたしを待っている人がいる

    2021.05.07 昨夜のNHKテレビで、「いい日旅立ち」「シクラメンのかほり」を、裏話とともに見て、実に感動した。 特別に誰のファンというわけでもないし、たまたま聞いたらその歌手のファンになる程度の演歌好きだが、山口百恵の「いい日旅立ち」は、あれはいつ聴いても涙腺がゆるんできて、いつしか頬がぐ... 続きをみる

  • まだまだこれから開拓する余地がある

    2021.05.06 テレビのお笑い番組や、バラエティ番組が、以前のように素直に楽しめなくなったのは、受け手のこちら側に柔軟さが無くなったせいだろう。 ドラマの場合も同じく、顔は分かるが名前はほとんど出て来ない、 「ああ、あれ、何と言ったけ、AだったかBと言ったけ」 では、ますます入り込めない、時... 続きをみる

  • ICTル、

    2021.05.05 スマホの扱いにだいぶ慣れてきた。 数日前だったか、数週間前だったか、テレビのバラエティニュース番組の中で取り上げていて、驚いたことがある。 それは、和歌山ドンファン殺しの犯人元若妻逮捕、の下り、 決め手が、元妻から提出されたスマホの履歴から、というもので、局アナのケイタイ履歴... 続きをみる

  • イノチの洗濯、サツキ晴れ

    2021.05.04 数日前から、庭に一本植えてある、八朔の木に白い花が咲き始めた。 すでに小さな緑の実がついているやつも有る。 昨年は大きな実があらわになるまで、気づかなかった。 店頭で並んでいるような、大きなものが12個も採れた。 それまで偶の年に数個成ればいい方だったのに、どうしたわけか、今... 続きをみる

  • わたしはわたし、あんたはあんた

    2021.05.03 一日に何回も電話をかけて来ていたのが、この数日間、まったくケイタイが鳴らない。 大した話でもないので、その都度付き合うのにやれやれとならなくもないが、入院疲れでその気力もなくなっているのかと、かえって心配になる。 蜂窩織炎、血流不足の原因で起こる、ベッド生活者には欠かせない寝... 続きをみる

  • 1400年後の磐余の池を訪ねた

    2021.05.02 今日も妻は、コロナの円環に隔離されているために、夫は昨日の、斑鳩から馬に乗って、の続きに向かいます。 古代は政争の坩堝だった。 対抗馬と成り得る者は、早めに取り除くしかなかった。 現代でも誓約は往々に反故にされる。 血のつながり、身内はかえって危険な存在に他ならなかった。 母... 続きをみる

  • たとえばの話、斑鳩から馬に乗って、

    2021.05.01 鞍上、古代の眺め 片道8キロ、往復16キロ、それがどのくらいの距離かと家に帰ってグーグル地図を広げていた。 眼前に広がるのは、奈良飛鳥地方の地形。 10年も以前になって、古代に意識が飛ぶようになり、現地踏査をするまでの格別の想いがある。 そこが自分の魂の故郷、ひまを見て、足を... 続きをみる