ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

身体の不具合など、いかほどのことあらんや。

2021.05.15 長男が連れて帰った愛犬のジュエを見ていると、なんとはなしに気持ちが落ち着く。
あれは太古から人間の住むところに棲みついた、共生動物であるとの思いが、安心感を生んでいるからだろう。
その上に、愛玩用に交配された犬種であるジュエは、まことにもって愛らしい。
電話が鳴り、話している相手の先がまさか妻だとわかるはずもないが、ひときわ声を張り上げて吠える。
耳の遠い妻にも、その吠声が聞こえているのか、
「ジュエ、ジュエがそこに居るの? ジュエちゃん!」
妻の家に帰りたいの想いの中には、ただ可愛いとしか言いようのない、ジュエの存在が大きく作用しているに違いない。
庭犬を過去に二度、飼っていたことがあるが、早歩行できない妻が犬を連れて散歩することはなかった。
リード紐でつないでいるとはいえ、意外な強力を見せる犬の散歩は、よちよち歩きの妻にはムリだ。
そこにいくと、脚の短いジュエのしっぽを振りながら室内を走り回る様は、妻の気持ちの表れを代弁しているようで、格好の癒し相手になれる。
自分には備えることのできない、無私の、アニマルセラピーだ。
妻に、ジュエを与えてやらなければならない。
この家に長男とジュエの姿が現れたと思うと、入れ替わりに妻の姿が家から消えた。
正しい、我が家の有り方に戻さなければならない。
月末には、それが実現される。
身体の不具合など、いかほどのことやあらんや。


写真は、伊勢内宮