ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

アニハカランヤ、こんな言葉は


一度投稿した後に ↑この記事を見て感動したのでリブログ、再投稿します。


2021.04.16 夜半に一度目覚め、一旦、起き上がったが何する気にもならず、すぐに布団に戻った。
次に目覚めたら、カーテン越しに外が明るくなっている。
いつも暗いうちから起きているので、夜明けとともに目覚めるのは珍しいことだ。
時計の針は、午前5時30分を少し回っている。
早起きしたのではない、夜が開けるのが早くなっただけのことだと知れる。
すぐにパソコンに向かったが、気が重い。
妻が入院して居なくなってから、張り合いが無くなったのか、どうもやる気に欠けている。
少しの時間でも盗んで、そそくさとキーボードを叩き、また妻のところへ戻る、その緊張感がなくなって、かえって緩んでしまった。
「さあ、どうぞ」と筆と紙を手渡された、冬眠から覚めて、まだ土を被ったままの薄目で地上に這い出た起き抜けの、ヒキガエルのようなものだ。
ヒキガエルと譬えるのは、アマガエル、トノサマガエル、ヨミガエルに例えるにはやや古色に蒼然となっている、自虐から……。
あまりにフリーの景色が広がって、何から手を付けたらいいのか、戸惑っている。
こんなときには、何か腹に入れると良い案が生まれて来るかもしれない。
階下に降り、通常より早めであるがトーストパンを焼き、牛乳をカップ一杯温めた。
それにバナナ一本と小さめのヨーグルト一つ。
この朝食を妻と結婚して以来、もう四十年以上も続けている。
ヨーグルトだけ、ここ4、5年のこと。


そして、アニハカランヤ、何もよい考えが浮かんで来ない。
アニハカランヤ、こんな言葉は、まず今の若い者には出て来ない、だろう。
それを奇貨として、大切にして行こうと唐突に思った。