ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

フールフーラーフーリッシュ!

2021.04.01 ここ1週間の天候は、並はずれて陽気が勝っている。
見渡して、こんなに花の咲くものかと、頭が浮かれてしまった。
それまでにも、妻を煙に巻いて楽しむ、悪趣味がなかったわけではない。
たとえば、二人とも長年のNHK大河ドラマのファンだ。
「どうしてNHK大河ドラマは、いや民放大型時代劇も、古代を舞台にしたドラマがないのだろう。中国には項羽と劉邦、三国志、韓流にもテグン物語が放送されている。日本にもそれらに負けぬヤマトタケルや雄略天智天武のスペクタル物語があるのにどこも手を付けようとしない。あれは何か深謀遠慮が働いているのだろうか」
打てば響いたころの妻も、これには付き合いたくない。
「どこからかクレームが入るのを怖れて誰も手を付けようとしないのだろうか」
ちょうどいい、
「コーヒー入れましょうか」と席を立つ。
熱くはないが、「熱っ!」とおどけて見せ、コーヒーを飲みながら話を続ける。
「教科書で必ず習う、大化の改新、これ知っているよね」
「まあ、それぐらいなら」
「その直前に大きな事件が起こった。蘇我馬子が中大兄皇子らに謀殺される事件で、乙巳の変と言われている。実はあの事件の真相は、まったく逆なんだよ」
それは初耳、と妻は乗り出そうとして、夫の顔を覗き込むとニヤニヤしている。
それでこの日が4月1日の、フールフーラーフーリッシュだとわかって、
「コーヒー、苦いコーヒー、付け足しましょう」


写真は近所の、メガネの看板を出しているご主人、
10年も前に、駐車場の一画にプレハブのお店を出したが、大抵閉まっていて、開店しても数時間で閉める。
いつもテープを流しているが、この日の音楽は様子が違ったので、冷やかし気分で中に入った。
何と、いつの間にか古いピアノを持ち込んで、練習に励んでいるではないか。
それも、隠れるようにご婦人のハーモニカの伴奏までつけて。
ぶらり散歩して来ようとして、ふと立ち寄った、ユニークな近所の超人たちでした。