ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

「希望」という名のあなたをたずねて

2021.02.23 すべてが順調に行っている時は、くよくよする暇もない。
ふとした折に、突然に、もの寂しさを感じる。
年頭の賀状に、旧来の友人たちにWEB「鳥に化る」の開設を知らせた。
見てもらいたい、読んでもらいたい、の一念からである。
彼らが一番、都之隠士tunoinshiの本性を知っている。
衒学趣味と鼻持ちならぬ孤独癖は治っていない。
彼らの目には、どのような老骨の姿が見えるのか。
シジフォスの神話。
山の頂に岩を押し上げたと思うと落とされ、また一から始める。
自分が分かっている以上に自分というものは、当然ながら、他人には分からない。
それでいいので、今の世の中、
「見たよ!」ボタンぐらい押してくれてもいいのではないか。
しかし、2月ももう終わろうかというのに、ナシのつぶてだ。
都之隠士というWEBネームで出たこと自体が間違いだ。
ミヤコノカクレオトコ など相手にしてくれる余裕はない。
皆、自分たちの事で忙しいのだ。
この歳まで生きれば、それぞれに家庭の問題を抱えている。
賀状に付け足した余分な近況報告であったのかもしれない。
「鳥に化る」にやって来る訪問者の足跡はわかるが、アクセスロゴには名前がついていないので、どこの誰かまでは判らない。
そんなときに、友人の一人から「介護日誌」を愛読しているとメールがあった。
ブログの方でも、記事を読んでコメントしてくれたお方もいる。
どちらも闇夜に燭光が射す、ありがたい希望の光りです。
今月末にはたぶん、昨年に応募した作品の一つの予選発表がある。
何日も前から結果発表を待つ、不安と希望の受験生の心境です。
季節は、サクラサクになるが、多くは、サクラチルになる。
ともに喜び、ともに悲しむべき、一番の理解者であるはずの妻が、WEB上に名前が有る無しはおろか、日夜呻吟してキーボードを叩いていた夫の姿にまったく無関心になっているのは、落選以上に骨身にこたえる。
ほうれんそうとシイタケとベーコンの炒め物を作って夕食に出すと、
「美味しい」と明るく声に出してぱくついている。
その横顔を眺めながら、つい先行きに不安という言葉しか浮かんでいないのを如何ともしがたい。
しかし、腹がふくれ、テレビを見ながら晩酌に舌鼓していれば、それらの喜怒哀楽も消えてしまうので、元々がたいした事柄ではなかったのだと納得する。
「希望」という名のあなたをたずねて遠い国へと……、そんな歌があったな。


都之隠士の世界