ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

カモメのジョナサン

2021.04.18 カモメに襲われる夢を見た。
妻を車いすに乗せて、ホームの海の見える丘に立って、眺望を楽しんでいると、カモメが飛んでやって来た。
話せるわけではないが、何か話している風でもある。
一羽二羽のときは、海辺の風景でほほえましいが、大群がやってくると、ヒッチコックの『鳥』のようになる。
カモメの嘴も、カラスの鋭い嘴と大差ない。
あれで啄まれたら、たまったものではない、悪くすると命を取られる。
そんな場所に立っているのは、以前ホームを探して熱海の施設にたどり着いた、記憶が残っているからだろう。
「施設に入るのはイヤだ」
それで、その話は立ち消えた。
カモメの数がどんどん増えて来る。
何を伝えようとして、やって来ているのか。
顔や頭の周りにまとわりついて来て、さすがにこれは危険だと判断した。
妻を乗せた車いすの向きを180度回転して、一散に建物の中に入った。
介護ヘルパーたちも気が気でなかったらしく、拍手して迎えている。
そんなつもりはまったくないが、意識下に、妻がもう一方の足まで切断しなければならないのを憂えて、道を探していたのかも知れない。
それをカモメたちが阻止しにやって来た?
『カモメのジョナサン』はどんな話であったかなと調べたら、のんきな話ではなかった。
ただ、道を探した、孤高の物語であったことはわかった。