ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

30万回のありがとう

若い時分から、近所のママ友たちとの会話に「ありがとう」が何十回となく交わされていた。
歩くスピードを合わせてもらい「ありがとう」、重い荷物を持ってもらい「ありがとう」、赤ん坊のおしめを交換するのを手伝ってもらい「ありがとう」、その日一日「ありがとう」が口から出る。
家でも「ありがとう」は幾度か繰り返される。
AからB地点に移動するたびに「ありがとう」
家事の片づけをしてもらって「ありがとう」
ペットボトルのキャップをゆるめてもらい「ありがとう」
時には抱きしめてもらって「ありがとう」
知り合って以来40数年間、「ありがとう」の声を出さなかったことは一度もない。
それが最近は「ありがとう」の声は小さくなり、頭を上下に動かして、「ありがとう」の謝意を表している。


40年間×365日×20回  少なく見て約30万回の「ありがとう」になる
あと何年、「ありがとう」が続けられるか……
そんな中、夫は楽しみを見つけて余生を送ろうとしています。
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