ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

くずきりがどこにもない!

2021.01.25 毎日の夕食メニューで悩んでいる。
朝は決まってパン・牛乳・コーヒー・バナナ・ヨーグルトで365日飽きないし、昼もうどん・ラーメンなどで済ますので苦労しない。
夕食のみ、何か作ろうと考えて、結局この日は冬の定番、鍋物、トリ鍋に決めた。
豆腐と白菜など材料に特別目新しいものはない。
そこにくずきりを入れた。
これは妻の要求による食材だ。
鍋が煮立ってから、それを想い出してあわてて放り込んだ。
適宜な分量のつもりだったが、ごまかしの部分もある。
それを楽しみにしていた妻の要求には答えられなかった。
コンロから外してテーブルの上の鍋敷きに置き、妻の受け皿に各品を装う。
最初の一皿をたいらげると、「くずきりは?」
鍋を掻き混ぜて取り出すが、思ったほど、つるつるが掴めない。
もっとたくさん入れたつもりだったが、溶けたはずはないのに、底の方にも隠れていない。
がっかりしているので、「10分もすればできる。今から火にかけようか」
黙っているのは、もういい、という意味だ。
幼年時、よく母親から白い粉に熱湯を注いで掻き混ぜると透明になる水あめのような、しかし味もそっけもないものを飲まされた記憶がある。
あれは葛湯というものだったのだろうか。
甘い記憶がないので、砂糖は入れていなかったようだ。


2021.01.22-2 のランキング表を削除しました。
何事にも一喜一憂しないことにしました。


写真は小説『大菩薩峠』から、鈴鹿・関宿の巻