ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

シックスセンス?

2021.01.13 シックスセンス?
どこかが悪いわけでもない、具体的な何が欲しいわけでもない、ただ何かメランコリーのような浮かない気分というものがあって、それを妻に勘付かれたようだ。
「雪が降るというのに出かけなくてもいいのに」
「寒い日に何も出かけなくてもいいのに」
「雪はパラパラ降っただけだ」
「明日は晴れて、10度近くにまでなると言っている」
昔、ある時期、たぶんそれは男の終わりの始まりを知覚した50代の頃の話だ。
あれは沈む太陽を追いかけて行く、そんな気分になっていた。
「老人と海」
何を言おうとしているか、わかるかな?
「心配しなくても、今日は9時にリハの先生が来る、昼食の用意にヘルパーも来てくれる、3時には様子見にヘルパーも来てくれる。長い時間一人でいるわけではない。心配することは何もない。私も週に一日は解放されて、街の空気を吸いに出かけたいのだよ」
実際、近頃は遠足に出かけるような気分で、水曜日を迎えることがある。
しかし、先週の水曜日のように、あくまで妻の体調が優先する。
そこに或る種の、悲しみと憤りの混じった、焦りを感じている。
たぶん先に逝くだろう妻が亡くなった後に残された夫というものは、どうなるのだ?
何を生き甲斐にしたらいいのだ?
朝早く目覚めて、そんなことを考えていた。