ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

パンにバターを塗る

2021.01.04 痰を出そうとして咳き込むので、部屋はまだ寒いが、起して車いすに移動させる。
テーブルの前に連れて行き、そこでまず目薬を差してやり、うがいをさせてから朝食の準備ができるまで待たせる。
まだパンは焼けていないし、コーヒーもでき上がらないのに、決まってパンに塗るバターを急いで要求する。
手指が変形して不自由な動きしかできないことを自覚していて、バターをパンに塗るそれだけの行為に不安を感じて、それができていないと落ち着かないのだ。
バターべらは平らに持てないので、バター面はいつも穴ぼこになっている。
それらを手伝うのではなくて、必ず自分でさせる。
このことは大切な、我が家の、傍から見れば手伝ってやればいいのにと思うだろう、夫婦の絆です。


投薬の説明
イーケープラ  けいれんなどの発作を抑える
ビソプロソールフマル 心臓の働きをよくし息切れ息苦しさなどの心不全症状を改善する
プロセミド  尿の排泄を促して体内の余分な水分などを排泄してむくみを改善する
ネキシウムカプセル  胃酸の分泌を抑える
サムチレール  ニューモシスチス肺炎の治療や発症を抑制する
アスパラカリウム  カリウム不足を補う
セララ  血圧を下げる薬
プラバスタチン  血液中のコレステロールを下げる薬
カルボシスティン  痰を出しやすくする薬
エリキューズ  血が固まって血管が詰まるのを防ぐ
オレンシア  免疫の異常な働きを抑え、関節の腫れや痛みなど関節リュウマチの症状を改善する


これ以上何が必要かと思える大量の処方だが、28歳でリュウマチを発症し、金粉・神の御札に縋るはもちろん、あらゆる現代医学の手立てを尽くして、数か所の人工関節、ついには2年前に左膝下切断、50年にわたる努めて明るく生きようとしてきた、行き着いた涯の姿です。
これら処方の中に、頭の働きを活性化させる薬が無いのは、これが今考えられる最良の(神)の恩寵・天の慈悲というものかと、妻に代わって愚痴の一つも言わずして、何とする。


今日は正月休みが明けて、楽しみにしている入浴カーがやって来る日です。

投薬カレンダーに薬が並んでいないことを指摘される

2021.01.03 朝食の後に薬を飲もうとして、薬がないのに気づき、笑っている。
すぐにカレンダー袋に入れて、今朝の分を取り出し、封を切ってテーブルの上に並べる。
医師に処方してもらった、現在の薬は以下の通り。


イーケープラ錠500mg  朝・夕
プレドニン錠5mg  朝・昼.夕
ビソプロソールフマル酸塩錠5mg 朝
プロセミド錠20mg  朝
ネキシウムカプセル10mg  朝
サムチレール内用濁液15%(750mg5ml)  朝 
アスパラカリウム錠300mg  朝・昼・夕
セララ錠25mg  朝
プラバスタチンNa錠10mg  朝
カルボシスティン錠500mg  朝・昼・夕
エリキューズ錠5mg  朝・夕
オレンシア皮下注125mgオートインジェクター1ml  週一回


投薬以外に、身体に尿管カニューラを装着しているので、ベッドから起こす、車いすからベッドに移す、
そのたびに管がねじれて尿の流れが止まっていないか確認する。
幾たびか肺炎を起こして、icuに緊急搬送され、現在は在宅酸素を吸引している。
呼吸がやや苦しくなると、酸素吸入を1リッターから2リッター、または3リッターまで上げている。
かなり、看護・介護知識がついて、妙なところでどっしりと気持ちは落ち着いている。
それぞれの薬のはたらきは、次回に書きます。

よく笑うようになった

2021.01.02 箸が転んでもおかしい年頃、という言葉がある。あれは本当の事だ。
少女の思春期ではないが、老年期にもその現象は起こるものらしい。
年末に、「煮しめの作り方」をネットから拾って、作った煮しめを妻に見せた時のことだ。
「よくできている」とも「一口食べてみたい」とも言わないが、目を輝かせている。
声には出さないが、顔をくしゃくしゃにして、鬼の首でも取ったようにして喜んでいる。
あれは夫に対しての、謝意と称賛の表れなのだということが、晦日、元旦、二日と毎度食卓に並ぶ煮しめをパクパク食べているのでよくわかる。
あれを食べたい、これを食べたい、と言うことはあるが、出されたものに不満をもらしたことは一度もない。
年賀状のお返しを郵便ポストに投函しに出かけて、川に鷺の姿を見つけ、急いでカメラを取りに帰って写真に撮った。
鷺には庭の金魚を食べられた苦い思い出があるが、鷺の話をしても、そこまでの話題にはならない。
テレビで箱根駅伝を見ていて、まだ子供たちが小さかった頃に横浜まで見学に行った、それを覚えていて、その話題でいっとき盛り上がる。