ひげ爺の今は〇〇となりにけり。

初期の老々介護日誌から、思い出の記、艶笑小咄、別サイトで歴史情話など掲載

ナイスキャッチ!!

2021.02.06 新しくミノマイシンという薬が朝夕に処方された。
細菌をやっつけると説明書にある。
あきれるほど沢山の、多種多様のクスリを飲むものだといつも感心する。
薬カレンダーのポケットの日曜日から始まり、朝・昼・夕と空になって行き、土曜日の夜にはきれいになくなる。
服薬を忘れないために、一目瞭然に訴える便利なカレンダーだ。
薬はすべて錠剤かカプセル、包装シートの一つ一つ指で押し出して取り出す。
指先にまったく力の入らない妻には、至難の業だ。
たぶん、もう10年来、薬の取り出し役を受け持っている。
観ていると、実に不器用に時間がかかり過ぎているので、こればかりは手伝うのだ。
受け皿に載せて行くときに、事件は起こった。
固い包装シートに力を入れすぎたために、飛び出て、転んで行ってしまったのだ。
ところがどうしたわけか上に跳ね上がって行ったので、とっさに手を伸ばして掌に受けとめていた。
それを見て、妻が何か叫んだ。
何を言ったのか分からなかったので「?」という顔をして覗き込むと、
「ナイスキャッチ!」
と実に、嬉しそうに、先回りして、得意げに声に出した。
本人も口から英語が飛び出るとは思ってもいなかったのか、幾分かキョトンとしているように見えた。
しかし、いずれにしてもホッコリはんな一瞬に、二人とも和む。
昨夕、今朝、本夕、と3回の服用の効果は早速に現われた。
就寝の、ベッドに移動するとき、
「足の痛みが少しよくなったようよ」と声に出していた、のだから。


都之隠士の世界